【不動産業界】マーケティングを取り巻く変化
マーケティングを成功させるには、不動産業界におけるマーケティングの特徴を把握しておくことが必要不可欠です。
不動産業界のマーケティングには、大きく分けてオフラインとオンラインの2つの手法があり、オンラインを用いた手法が主流になりつつあります。また、ポスティング・新聞広告・CMといった従来の不特定多数に向けた施策から、他社との差別化を図りやすいターゲットを絞った施策に変化しているのも特徴です。
ここでは、このような不動産業界のマーケティングの変化について解説します。
人口減少による競争激化
不動産業界では、人口減少に伴う不動産需要の低下にともない、業界全体で競争が激化しています。買い手市場・借り手市場になりつつある中で、集客数を増やすには他社と差別化を図り、自社ならではの魅力を伝えて顧客に選ばれる必要があります。
そこで重要なのが顧客一人ひとりの状況や購買意欲の程度を考慮し、ターゲットのニーズに沿ったマーケティングです。顧客が求める情報提供やアプローチを通して、興味を惹いたり信頼関係を築いたりすることが必要です。
Web上で情報収集する人の増加
最近では、来店や問い合わせに至る前の段階において、顧客の情報収集手段はインターネットが中心になっています。そのため、顧客のニーズに合わせて、マーケティング手法をテレビ・新聞・チラシなどを用いたものからWeb広告やSNSを活用したものに変更することが必要となっているのです。
国土交通省が実施した「令和3年度 住宅市場動向調査」においても、物件などに関する情報収集方法としてもっとも多かったのはインターネットでした。注文住宅では27.5%、分譲戸建ては53.0%、分譲マンションにおいては58.6%もの人がインターネットで情報収集していると回答しています。
このような調査結果からも、顧客の目に留まる効果的なマーケティングをするにはWeb上の施策が重要であるといえます。
出典:国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査」
不動産会社が注力したいマーケティング施策
不動産業界のマーケティングを取り巻く状況を踏まえると、注力すべき具体的なマーケティング施策は下記の通りです。
・Web広告
・SNSマーケティング
・LINE公式・メルマガ配信
・コンテンツマーケティング
各施策の概要を踏まえ、どのような点がおすすめなのかを紹介します。
Web広告
Web広告とは、名前の通り、Webサイト上に表示される広告のことです。インターネットを主な情報収集手段として活用している顧客の目に触れやすいマーケティング手法といえます。自社で狙いたい層のターゲットを絞り込んで配信可能なため、効果的にアプローチできるのが魅力です。
Web広告には複数の種類があり、代表例としてリスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告・ジオターゲティング広告があげられます。どのような広告かを順に解説します。
リスティング広告
リスティング広告とは、キーワードの検索結果の画面上部に表示できる広告です。広告が表示されるキーワードは自由に設定できますが、検索回数の多いキーワードほど費用が高くなる傾向にあります。
特定のキーワードを調べた人にだけ広告を表示できるので、ターゲットを絞り込めます。検索キーワードへの興味関心が高いユーザーに表示されることから、その後の問い合わせや資料請求などを期待できる点が特徴です。
一方、設定しているキーワードを検索されないと広告を見てもらえません。幅広い認知拡大には向かない点に注意して運用することが必要です。
内部リンク「№3_不動産 リスティング広告」
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリなどのバナー欄に表示できる広告です。広告には画像入りやテキストのみなど、さまざまな表示方法を選択できます。
ターゲットの属性やサイトの種類などで表示範囲を絞り込みつつ、リスティング広告よりも幅広い層にアプローチすることが可能です。そのため、潜在顧客を含めてターゲティングしたいときに向いています。また、画像を掲載できる分、ターゲットの興味を惹きやすいのも特徴です。
SNS広告
SNS広告とは、SNSのプラットフォーム上に表示できる広告です。タイムラインに自然に溶け込ませたり、おすすめリスト欄に表示させたりと、さまざまな表示方法を選べます。テキストや画像だけでなく、動画でもアピール可能なので、表現の幅が一気に広がります。
投稿に紛れる形で自然に広告を表示できることから、ターゲットにチェックしてもらいやすいのがSNS広告の特徴です。ただし、自社が狙いたいターゲットの利用者数が多い媒体に出稿することが大切です。
例えば、賃貸物件への入居を考えている学生・新社会人をターゲットにしているなら、若年層のユーザーが多く、かつ情報の拡散性に優れているXを活用するといったものです。
ジオターゲティング広告
ジオターゲティング広告とは、モバイル端末やPCなどの位置情報をターゲットにして広告を表示できる手法です。特定エリアに訪問した顧客をターゲティングできるので、地域密着を売りにしたい場合のマーケティングに向いています。
ただし、位置情報をもとに広告配信するので、認知拡大はできても購買意欲の高い顧客のみに絞れない点に注意が必要です。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、Instagram・X・FacebookなどのSNSを活用した手法です。企業の公式アカウントを作成し、情報発信をします。SNSの性質上、高い拡散効果を期待できるので、認知度拡大やユーザーとの関係構築も見込めるのです。
また、Web広告と違って、広告の出稿費用が発生しないのが利点です。ただし、定期的に投稿したりDMに対応したりと運用に手間がかかります。
LINE公式・メルマガ配信
LINE公式アカウントに友だち登録した顧客に対して情報発信ができます。また、メルマガ配信は、過去に接点を持った顧客へ物件情報などを発信する手法です。どちらの手法も自動送信や一斉送信ができるので、多くの労力をかけずに追客できます。
また、「○○様」と宛名を入れるなどして特別感を演出しやすいため、信頼関係を構築したいときに有効な手法です。
コンテンツマーケティング
自社サイトやブログなどで情報発信を行う手法がコンテンツマーケティングです。顧客にとって有益な情報(コンテンツ)を発信することで、自社が取り扱っている物件への関心を引き出せます。
物件情報に限らず、社内の様子や営業担当者の紹介なども発信することで、顧客に信頼感や安心感を持ってもらうことにつながるのも利点です。ただし、成果を出すにはコンテンツを充実させ長期的に運用する必要があります。
不動産会社がマーケティングを成功させるためのポイント
マーケティング施策を成功に導くために押さえておきたいポイントがあります。
・自社のターゲットに即した施策を実行する
・ブランディングを意識する
それぞれについて説明します。
自社のターゲットに即した施策を実行する
マーケティングを成功させるためには、自社のターゲットに即した施策を実行するのがポイントです。多くの競合他社がひしめき合う中で、自社が発信する情報を目立たせるためには、ターゲットのニーズに適したアプローチの実践が欠かせません。
年代・家族構成・ライフスタイル・行動意欲などの観点からターゲットを分析し、「どのような物件について、どうアプローチすれば効果的か」を検討しましょう。
ブランディングを意識する
ブランディングを意識し、自社のイメージや価値を高めて、多くの企業の中から選ばれる存在になることも重要です。具体的には、良い印象を持ってもらえるようWeb上で有益な情報を発信し続け、認知度や信頼性を高めることが必要です。
情報を発信する際は、「しつこい」「強引」などのマイナスイメージを持たれないように留意することも大切です。
まとめ
不動産業界のマーケティングは、人口減少による競争激化やWeb上で情報収集する方の増加にともない、有効な施策が変化しつつあります。オンライン手法を中心に据え、不特定多数ではなく、特定のターゲットに向けたマーケティングが有効です。施策によっては、媒体の精査が必要なこともあるため、自社のターゲットを明確にし、ニーズを考慮したアプローチを心がけることが大切です。