不動産業界の課題とは?業界内で生き残るための対策を紹介

不動産業界には、若年層の人口減少に伴う不動産需要の縮小など、さまざまな課題があります。今後の不動産業界に影響を与える原因をしっかりと理解し、適切に対策を取っていくことが、企業の生き残りには欠かせません。 そこで、今回は不動産業界の課題と、不動産業界で生き残るための対策について解説します。


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不動産業界が抱える課題

不動産業界の課題について把握する上でポイントになるのは、若年層の人口減少・物件の老朽化・空き家の増加・地価暴落の4つです。それぞれ、どのように不動産業界の課題につながっていくのかを解説します。

若年層の人口減少(超高齢社会)

超高齢化社会の到来に伴う若年層の人口減少は、不動産業界においても深刻な課題です。少子高齢化が進めば、不動産の市場規模は縮小し、不動産需要の減少につながるためです。

厚生労働省によると、2040年には団塊ジュニアが65歳となるため、65歳以上の人口が全人口の35%を占めるようになると予測されています。一方で15~64歳の人口は、2020年では60%、2040年には55%、2070年には52%と年々減少の一途を辿ると推測されている状況です。

出典:厚生労働省「我が国の人口について

このように、不動産需要を占める働き盛りの世代、すなわち生産年齢人口の割合が低下することで、物件の種類やエリアを問わず、不動産取引の鈍化が進むと考えられます。同時に、仕事の担い手も減少していくため、不動産業界における人手不足の深刻化も対策を講じるべき課題です。

老朽化

不動産業界では、老朽化した物件が増えていることも課題です。店舗・オフィスビルや居住用の一戸建て・マンションなど、種類を問わず既存物件の老朽化が進んでいます。築年数がある程度経過した物件は、築浅物件に比べると設備や間取り・内装などが古くて敬遠されるケースもあります。需要が少ないことで空き室になるリスクが高くなるのが難点です。

リノベーションの実施をはじめ、築年数の弱みを補える価値を創出し、上手く利活用できるかどうかが課題といえます。新築物件の価格が以前より上昇している現状を踏まえると、価格は抑えめであるにもかかわらず、おしゃれな内装や最新設備が備わった物件であれば訴求力を高めることが可能です。

空き家の増加

地方に留まらず都心部においても空き家が増加している状況は、今後の不動産業界に影響を与える大きな要因です。

総務省の最新の調査によると、2023年における空き家の数は900万戸で過去最多を記録しています。また、空き家率は13.8%で、こちらも過去最高の水準です。2018年は空き家数が849万戸、空き家率が13.6%であったことから、5年で空き家が増加したことがわかります。

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査

空き家が増え続ける背景には、若年層の人口減少や既存の物件の老朽化などに伴う需要の減少があります。このような傾向は今後も続くと考えられ、マンションにおいても空き家問題が深刻化すると予測されているのが実情です。

近年、多くの高層マンションが建設されていますが、これらが売れずに空き家として残り続け、不良債権化するリスクがある点を認識しておくことも必要です。

地価暴落

将来的な地価暴落の可能性も不動産業界が備えるべきリスクです。近年、地価や物件価格は上昇し続けています。その背景には、さまざまな要因があるものの、東京オリンピック・大阪万博などの大規模イベントの開催が一因です。そのため、イベント終了後には徐々に下落に転じていくおそれがあります。

また、生産緑地指定の10年間延長などの施策は取られているものの、生産緑地の宅地への転用可能に伴う地価下落のリスクは依然として存在するため注意が必要です。

不動産業界で生き残るための対策

さまざまな課題を抱える不動産業界で生き残るために取っておきたい主な対策は下記の4つです。

・サービス領域の拡大
・他業種との連携
・リノベーション
・DX推進

具体的にどのように取り組んでいけば良いか解説します。

サービス領域の拡大

不動産需要の落ち込みといった課題に対応するには、サービス領域の拡大が効果的です。従来のような不動産の取引のみに留まらず、地域や社会の新たなニーズを汲み取ったサービスを展開することで、新たな需要やビジネスチャンスを見つけられるためです。

例えば、不動産の取引時に、ライフラインを取り次いだり、保険を販売したりするなど、お客様の手間を省くことがあげられます。

さらに、不動産の投資や運用に対するニーズが高まっていることを踏まえ、資産形成のサポートを行うといったアプローチも考えられます。

他業種との連携

他業種との連携を進めて社会のニーズの変化に対応可能な体制を整えることも、不動産業界で生き残っていくために有効な対策です。不動産業界のみの知識やツテだけでは見つけ出すのが困難な需要もあります。そのような需要を他業種や自治体などと協力することで、容易に掘り起こせるためです。

例えば、空き物件を活用してもらいたい場合、自治体と連携することで地域のコミュニティスペースとして公的な活用ができます。

また、住む以外の価値を創出するといったアプローチを実施したい場合、連携先のノウハウを活かしてスムーズに新たなサービスを提供できます。

リノベーション

リノベーションへの注力によって、空室や空き家を減らすことを見込めます。老朽化した物件は、需要が少なく長期間空室になるリスクがありますが、リノベーションすることで物件の価値を高められます。

具体的には、最新の設備を導入する、おしゃれな内装に変える、バリアフリー化するなどがあげられます。自社のターゲット層のニーズに合ったリノベーションをすることが空室率を効率的に下げるポイントです。

DX推進

DX推進は、集客力を高めたり生産性を向上させたりすることにつながります。そのため、不動産業界が抱える課題への対策として有効です。

不動産業界では、IT化で後れを取っている企業が多い傾向にあります。例えば、物件に関する資料や契約書などの管理が紙ベースである、取引先やお客さまとのやり取りをする主な方法が電話やFAXである、といった状況があげられます。

アナログ中心の職場環境では、従業員の手間や労力が増え、業務が非効率的な状態になりかねません。業績アップはもとより人材不足を解消するためにも、DX推進で生産性を向上させることが大切です。

また、近年では、お客さまがWeb上で情報収集するケースが増えています。そういった方を取りこぼさないためには、マーケティング施策においてもIT化が欠かせないといえます。

不動産業界のDX推進に取り組むなら、ホームズのオンライン登記情報システムがおすすめです。登記情報の有効活用と業務効率化を目的としたシステムなので、登記情報の取得・共有・分析・活用を効率的に行えます。登記データを追客やマーケティング施策に活かすことも可能です。DX推進の必要性を感じている企業は、ぜひご活用ください。

まとめ

不動産業界には、若年層の人口減少・物件の老朽化・空き家の増加・地価暴落といったさまざまな課題があります。影響を最小限に抑えて生き残りを図るには、サービス領域の拡大・他業種との連携・リノベーション・DX推進などの対策が有効です。

登記情報の取得やリスト化の効率化を図るのも選択肢のひとつです。登記情報取得代行・データベース化サービスを活用してDX推進すれば、手間をかけずに生産性を高められます。ぜひ利用をご検討ください。