不動産業での独立が失敗する理由とは?軌道に乗せるためのポイントを紹介

不動産仲介業に従事する中で、先輩や取引先の方などの独立を見聞きして、自分も独立しようと考えている方もいるかと思います。独立するからには、できるだけ早く軌道に乗せて経営を安定させたいものですよね。 不動産仲介業は、不動産業界の中でも比較的独立しやすい業種であるとはいえ、売上状況に波があり、失敗するリスクがあることは変わりません。安定して収益を確保するには、独立前に失敗するパターンを把握して対策を講じておくことが必要です。 今回は、不動産仲介業の独立で失敗する主な理由と、独立して軌道に乗せるためのポイントを解説します。


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不動産仲介業の独立で失敗する主な理由

不動産仲介業は比較的容易に独立できるものの、実務経験があっても軌道に乗せるのが難しい傾向にあります。ここでは独立後に失敗する主な理由を3つ紹介します。

売上が安定しない

前提として、不動産仲介業は売上が不安定な業種です。不動産仲介業で収益を上げるには、仲介手数料を得る必要があります。仲介や売買の需要は年中通してコンスタントに見込めるわけではありません。

不動産取引の需要は、異動や就職・入学などで引越しの多い3月ごろを中心に高く、年末年始にかかる1月や気候が厳しい8月などは落ち込む傾向にあります。公益財団法人東日本不動産流通機構の首都圏の中古マンション売買に関する調査においても、3月は成約件数が3,442件と最多であるのに対し、8月は2,367件に留まっています。

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watchサマリーレポート

このように、不動産仲介業には繁忙期と閑散期があり、時期によって売上の差が大きくなりやすいのが特徴です。そのため収益計画を立てにくく、開業後に失敗するリスクを高める一因となっています。独立を考えるなら、収益に波が出やすいことを念頭に置いて、資金繰りなどを計画しておくことが必要です。

思うように集客できない

独立後、思うように集客できない時期が続くことも経営を軌道に乗せるのが困難な理由です。不動産取引は取引額が大きいこともあり、お客さまは名も知らない会社より知名度が高い、かつ信頼できそうな会社と取引したいと考えます。

独立してしまうと、独立前に属していた不動産会社の知名度や信頼関係などを活用して営業することはできません。さらに、同エリアで知名度や評判を備えた他の仲介業者と競わなければならないため、集客に難航するリスクが高くなるのです。

独立後もスムーズに集客をするためには、自社の強みや相談するメリットなどをアピールするとともに、露出を増やして知名度を高めることが欠かせません。自社サイトやSNSでの情報発信・一括査定サイトへの登録・広告の出稿などの手法を使い、できる限り露出を増やしましょう。

見通しが甘い

販管費に関する見通しが甘いことも、独立後に事業継続が難しくなるリスクを高める要因です。開業前後や事業が軌道に乗るまでは、事務所の賃料や光熱水費・広告費など、さまざまな費用がかかります。

さらに、集客が想定通りにいかないと、安定した収益を得るまでに運転資金が不足してしまう可能性もあります。また、閑散期に収益が落ち込むことを念頭に置いた資金計画も立てておく必要があるでしょう。

このように、不動産仲介業は少ない元手で独立できるものの、安易な資金計画では事業継続が難しくなりかねません。売上が上がらない期間が数か月続いても、事業が傾かない程度の十分な資金を準備しておきましょう。

【不動産仲介業】独立して軌道に乗せるためのポイント

ここでは独立後に軌道に乗せるための5つのポイントを具体例とあわせて紹介します。

不動産関係の人脈を築いておく

不動産仲介業で独立して成功するには、前職や同業者と人脈を築いておくことが重要です。不動産関係の人脈が豊富だと、物件や顧客・市場の動向など、事業を軌道に乗せる上で有益な情報を速やかに入手できます。独立直後は集客が上手くいかないこともあるものの、人脈を活用することでスムーズに集客できるようになります。

人脈を築く方法として、独立前から同業他社や取引先と交流を深めておく以外に、研修会・セミナー・異業種交流会・宅建協会のイベントに参加するといったものがあります。

事務所の立地を考慮する

不動産仲介業で独立して軌道に乗せるためには、事務所を構える立地にも気を配りましょう。事務所の所在地は、集客力や知名度に大きく影響するためです。多くの方の目に留まりやすい場所、かつお客さまが訪れやすいところに事務所を構えると集客しやすくなります。具体的には、利用者が多い駅周辺や人通りの多い場所などを選定しましょう。

なお、競合他社と熾烈な競争が発生しないよう、競合他社の出店状況などもチェックした上で事務所の場所を検討することも大切です。

競合他社との差別化を図る

スムーズに集客するためには、競合他社との差別化を図ることを意識しましょう。開業したばかりの会社が、すでに仲介業で実績のある他社と競ってお客さまを獲得するには、自社ならではの強みをお客さまにアピールする必要があります。

独自性を出していくにはエリアやターゲット層を絞って、自社の強みを打ち出すのが効果的です。差別化ポイントは、自社サイトやSNS・広告の出稿などを通じて情報発信しましょう。

コア業務に注力できる体制を整える

独立後、できるだけ短期間で事業を軌道に乗せるには、開業前から業務効率化を図り、コア業務に注力できる体制を整えておくことが大切です。不動産仲介業は、物件情報の入力や顧客情報の管理など、時間や労力のかかる細かな業務が多いため、開業段階から効率化を図る体制づくりが欠かせません。

特に、事務作業の効率化を図ることをおすすめします。ノンコア業務にあたる事務作業の効率を高めることで、その業務を担う人材を雇用する必要がなくなるためです。結果として、人件費による資金の圧迫を防ぐことにもつながります。

効率化を図っておきたい業務の一例として、登記情報の取得やデータ化があげられます。登記情報を大量に取得しようとすると時間がかかります。その上、手作業で入力やデータベース化すると、ヒューマンエラーが起こるリスクが高いためです。開業前後は集客やお客さまとの商談など取り組むべきコア業務が多いため、定型業務にかかる手間はできる限り省くことが重要です。

そういった場合に、登記情報取得代行・データベース化サービスの活用をおすすめします。住居表示の把握状況を問わず、不動産登記を取得・データ化できます。登記情報の取得に関連する業務に割く時間を省ける上、ヒューマンエラーが生じるリスクも抑えられます。コア業務に注力できる体制を整えられることで、生産性の向上も見込めます。

まとめ

不動産仲介業は、比較的少ない資金で独立できる業種であるものの、開業後に軌道に乗せるのが難しいという側面もあります。開業後に失敗する主な理由は、「売上が安定しない」「集客がうまくいかない」「資金計画が不十分」などです。

「人脈を築く」「資金に余裕を持たせる」といった対策を講じることで、事業を軌道に乗せやすくなります。今回紹介したポイントを参考に、独立に向けた準備を入念に行いましょう。