不動産営業の成約率の目安
不動産営業の成約率アップに向けた取り組みを始める前提として、成約率の目安がどの程度なのかを把握し、目指すべき水準をつかんでおきましょう。ここでは、不動産営業の成約率の計算方法や、どれくらいを目安にするべきなのかを解説します。
不動産の成約率の計算方法
不動産の成約率とは、不動産における営業活動の成功度を測る指標です。成約率は「成約数÷全体の案件数」で計算します。営業活動の種類ごとに成約率を算出することで、成約率の上がらない原因を特定しやすくなるでしょう。
例えば、現地に赴き物件を案内した数で成約数を割った場合にわかるのは、内覧からの成約率です。また、ホームページからの問い合わせ数で成約数を割ると、ホームページの問い合わせからの成約率がわかります。
不動産の平均成約率
不動産営業の成約率の平均値は、物件の種類・地域・取引内容によって異なります。
住宅の購入や売却の仲介といった売買仲介の問い合わせからの成約率は、一般的に10%から20%程度とされています。不動産市場動向データ集をみると、中古マンションの成約率は、首都圏の18.3%に対し、近畿圏では26.0%と開きがあります。中古戸建の成約率も、首都圏は19.7%にとどまるのに対し、近畿圏では30.8%まで伸びます。
出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会不動産総合研究所「不動産市場動向データ集」(2024年3月)
このように、成約率の平均は物件の所在地や種別などで大きく異なるため、営業店のエリアの平均値を目安にするのがおすすめです。
不動産営業の成約率が上がらない4つの原因
ここでは、成約率が上がらない代表的な4つの原因を紹介します。自社に当てはまるものはどれか確認してみましょう。
ニーズを引き出せていない
お客さまのニーズを具体的に引き出せないまま営業を続けても、成約率は上がりません。ニーズの理解があやふやなままでは、的確な提案はできないからです。「どのような理由で、どういう条件を満たす物件を必要としているのか」を詳しく聞き出す必要があります。
お客さま自身、自分のニーズや課題を明確に認識できていないケースも多いので、コミュニケーションをしっかりと取って要望を整理することが大切です。相手がリラックスして話しやすい環境を整え、傾聴する姿勢でヒアリングを進めましょう。
信頼関係が築けていない
お客さまとの信頼関係が十分に築けていない状態では、成約率を向上させるのは困難です。不動産取引は取引価格が大きいため、信用できない相手とは、契約を決断する気持ちにはなれないからです。
決断を急がせようとしたり、お客さまの疑問や不安に的確に回答しなかったりすると、不信感につながります。また、レスポンスが遅いのも信頼低下の一因なので注意が必要です。質問内容にはその日のうちに回答するとともに、お客さまの立場に寄り添ったコミュニケーションを心がけましょう。
競合他社との差別化ができていない
競争の激しい不動産業界では、他社と比べて自社の強みが何なのかを明確にできていないと、お客さまから選ばれにくい傾向にあります。同じような物件を取り扱うケースの多い不動産業界では、物件の魅力だけをアピールしていては、他社に競り勝てないこともしばしばです。
自社ならではのサービス・フォロー・特典といった独自性を、お客さまにも伝わるようにわかりやすく説明するようにしましょう。
的確な導線を設計できていない
反響成約率が伸び悩むよくある原因のひとつが、ホームページやWeb広告などの導線が適切でないことです。Webサイトが見づらかったりスマートフォンからは閲覧しづらかったりすると、訪問者は早々に離脱してしまい、営業をかけるチャンスを逃す羽目になります。
また、Web広告が狙ったターゲット層に的確に表示されるよう設定できていない場合も、集客効果が半減してしまうので注意が必要です。社内でWeb広告などの効果不振について共有し、改善に向けた施策を講じると良いでしょう。
不動産営業の成約率を上げる方法5選
不動産営業の成約率を向上させるには、前提として、自社の強みを把握してアピールすることが欠かせません。また、資料の棒読みはやめましょう。物件に関する知識は事前にインプットし、お客さまに熱意が伝わるように説明するのが大切です。
そのほか、成約率アップのために有効な5つのアプローチ方法やノウハウを紹介します。
見込み客を段階ごとに整理する
見込み客と一言でいっても、物件の取引に関する情報を集めている段階からすぐにでも売買したい段階まで、取引についての検討段階はさまざまです。検討段階に応じて、適切なアプローチ方法や情報提供の内容は異なるので、まずはどの段階にある見込み客なのかを見極めて整理しましょう。
ある程度コミュニケーションを取って見込み客の検討段階が把握できたら、社内で情報共有しておくことも大切です。営業支援ツールを導入すれば、複数の見込み客の情報を正確に管理し手間なく共有できます。
※関連記事:「【不動産会社】営業担当者がDMの効果を高めるコツを紹介」
見込み客との連絡方法を最適化する
見込み客によって、好ましい印象や信頼感を与えられる連絡方法は異なります。見込み客にとって好感の持てる連絡の仕方をすれば、同業他社に差をつけ選んでもらいやすくなる効果が期待できるため、連絡方法の最適化は重要です。
いつでも望ましい連絡方法でアプローチできるよう、見込み客ごとに、適切な連絡の時間帯・ツールや言い回し・文面・喜ばれる情報などを整理しておきましょう。適切な連絡のタイミングについては、あらかじめ問い合わせフォームなどに記載してもらうと、スムーズに把握できます。
※関連記事:「【文例あり】不動産会社が追客メールの返信率を高めるコツを解説」
ヒアリング力を高めて潜在ニーズを探り当てる
お客さまの潜在的なニーズを引き出すことも、成約率アップには欠かせません。ニーズに対応した提案をすることが、成約率の向上につながるからです。
ただし、お客さまはすべてのニーズを自分から話すわけではありません。それどころか、潜在的なニーズについては、お客さま自身が明確に認識していない場合もよくあります。そこで、お客さまに自然とニーズを認識し話してもらえるよう、傾聴力を養うことが大切です。営業担当が一方的に話して、潜在的なニーズを見逃すことのないようにしましょう。
即レスを徹底する
不動産営業の成約率を向上させたいなら、お客さまからの連絡にはできる限り早く対応しましょう。連絡をするのが遅くなればなるほど、お客さまは、物件について忘れたり関心を失ったりする可能性が高くなります。また、なかなか連絡がこないと信頼低下につながるリスクもあるので、注意が必要です。
特に質問や情報提供を求められている状況であれば、少なくともその日中に何らかのリアクションをしましょう。
お客さまの懸念点や疑問点を解消する
営業をかける際には、売り込むのではなく、お客さまの不安や疑問を丁寧に解消することを重視するよう心がけましょう。不安や不明点を的確にフォローできれば、お客さまからの信頼を得られます。また、成約を妨げていた懸念などが解消されることで、契約に向けた決断がスムーズになるのも利点です。
よくある懸念点や疑問点とその回答については、事前に整理し社内で共有しておくと、時間や労力を抑えて効率的に対応できるでしょう。
※関連記事:「【新卒向け】不動産のテレアポで成果を上げるには?6つのテクニックを紹介」
まとめ
不動産営業の成約率を向上させるには、成約を妨げている原因を割り出した上で対策を講じる必要があります。ニーズの把握・信頼関係構築・他社との差別化などが十分にできているか、今一度振り返ってみましょう。
お客さまの検討段階の分析や最適な連絡方法の整理、ヒアリング力の向上など、複数のノウハウを組み合わせることで成約率向上効果を高められます。この機会にアプローチ方法をバージョンアップし、反響を成果につなげられる営業手法を確立しましょう。