不動産会社における追客の重要性
追客とは、文字通り、お客様を追いかける営業手法のことです。具体的には、これまでに問い合わせや資料請求・過去の取引実績などの履歴がある見込み客に対して、情報提供などのアプローチを継続的に行い、信頼関係を築いていきます。
特に不動産営業では追客が重要です。不動産取引では取引額が高額であることから、お客さまは検討時間を長く必要とする傾向にあります。その結果、問い合わせから契約成立までの期間が他業種に比べると長引くため、追客しながら検討のサポートを行うと、成約につながりやすくなります。
追客の主な4つの手法
追客で使う代表的な手法は、電話・メール・郵送DMやハガキ・SNSの4つです。それぞれの手法について、概要や特徴、期待できる効果などを紹介します。
1.電話
比較的短期間で成約につながる見込みのあるお客さまに対しては、電話による追客が効果的です。電話は、お客さまのリアクションをその場で確認しながら対応可能なため、相手のニーズや気持ちを的確に把握して営業できるのが大きな強みです。
ただし、他の手法に比べると時間やコストがかかります。電話で追客すべき見込み客を見極め、厳選して行うと効率的です。また、直接話せる時間を無駄にしないよう、よく下調べをして質問や疑問にもれなく対応できるようにしておきましょう。
2.メール
近年は、インターネット経由で情報収集や資料請求などを行うことが一般的になったため、メールによる追客も効果的です。手間を抑えて多くの方にアプローチできます。
メールを使って追客をする主な方法は、一斉送信メールとステップメールの2つです。ここでは、それぞれの概要や見込まれる効果などを紹介します。
一斉送信メール
一斉送信メールとは、同じ文面のメールを一度に複数のアドレスに宛てて送信する方法のことです。一斉送信メールで追客をすれば、手間やコストをかけることなく、多くの見込み客にアプローチできます。そのため、追客時点では取引に対して消極的であると考えられるお客さまへの情報提供に向いている方法です。
ただし、追客メールは他のメールに紛れたり迷惑メールに分類されたりするなどして、開封されないリスクがあります。見込み客の目に留めてもらうためにも、開封したくなるような件名にするといった工夫が必要です。
ステップメール
ステップメールとは、シーンに合わせて用意した複数のメールを、あらかじめ設定したシナリオに沿って自動で配信する方法です。資料請求した場合や問い合わせをしてきた場合など、お客さま側のアクションに応じて送信メールを準備しておきます。
自動送信で手間を省けるステップメールは、成約までにある程度時間を要する見込み客への追客に最適です。ただし、一斉送信メールと同様、開封してもらえないリスクがあるので、思わず開封したくなるタイトル・文面作りが欠かせません。
追客メールの返信率アップを図るためのコツや文例は、こちらの記事で紹介しています。
【文例あり】不動産会社が追客メールの送信率を高めるコツを解説
3.郵送DM・ハガキ
郵送DM・ハガキは、メールに比べると内容を確認してもらいやすい追客手法です。資料が書面で手元に残るので印象に残りやすく、電話などと比べて見込み客の負担になりにくいといった利点があります。
郵送DMによる追客は、確実に情報提供できることが特徴です。また、ハガキは郵送DMより親近感を持たれやすく、信頼関係の構築に向いています。郵送DM・ハガキは、郵送のためのコストがかさみやすいので、短期間で成約につながりそうな相手などに絞って行いましょう。
4.SNS
SNSも追客の手法として有用です。電話や郵送などに比べてコストや労力を抑えられ、気軽に情報発信できるため、さまざまなお客さま層への追客に適しています。
特に、LINEは年代や性別を問わず普及しており、質問や回答も気負わずできるためリアクションを得やすく、追客の効果を期待できる媒体です。友だち登録をしてもらえば、メッセージの一斉送信などもできます。
【不動産会社】追客時のポイント
追客の効果を高めるには、押さえるべきポイントやコツがあります。ここでは、押さえておきたい5つのポイントを確認しておきましょう。
顧客リストを整理する
効果的に追客するには、顧客リストを整理し、見込み客を短期的か長期的かで分類しましょう。お客さまのタイプによって、最適な追客の手法は異なるためです。例えば、電話や郵送DMなどの追客手法は、検討期間が短そうなお客さまから優先して行うと効果が期待できます。
効果的な追客のために顧客リストを整理する際は、登記情報取得代行・データベース化サービスを活用すると、負担なく正確なリストを短期間で入手できます。住居表示の把握状況を問わず、不動産登記の取得・データ化が可能です。
しつこく押しすぎない
追客を成果につなげるには、しつこく押しすぎないことも大切なポイントです。追客をする相手が取引するかどうか検討している段階で、押し売り感を出してしまうと、他社に流れたり成約に至らなくなったりするリスクがあるためです。
電話による追客であれば、時間を取り過ぎないように配慮しましょう。また、メールやSNSのメッセージも、短期間に送り過ぎると圧迫感を与えてしまい逆効果になります。
情報はさりげなく引き出す
追客に当たってお客さまのニーズを正しく把握するために、情報収集に力を入れることが大切です。その際、情報をさりげなく引き出すようにしましょう。
踏み込んだ質問をし過ぎたり、何度もしつこく質問したりすると、お客さまに不快な気持ちを抱かれてしまうためです。印象が悪化して信頼をなくすばかりか、「無理に取引を強要されるのではないか」といった疑念をもたれ、他社に流れてしまうリスクがあります。
情報は、お客さまとの自然な会話の中で焦らずに集めていきましょう。
タイミングを考える
追客の効果を高めるには、アプローチするタイミングも重要です。具体的には、初動はできるだけ速やかにアプローチすることや、お客さまの関心が高まるタイミングを逃さずに追客することを意識しましょう。
例えば、問い合わせや資料請求などがあった際は、速やかにアプローチすることが大切です。不動産取引を考えている方は、複数社で比較検討しているケースが多いため、他社と差をつけるためにもタイミングを逃さないようにしましょう。
効果測定を行う
追客の効果があったか効果測定を行い、必要に応じてやり方を見直すことも欠かせません。効果が出ない追客を継続しても、労力やコストが無駄になってしまう可能性があります。
メールであれば、「返信率はどの程度か」「前回のメールと比較して、開封率がどのように推移しているのか」といった点をチェックします。また、定期的に顧客リストの更新を行い、リアクションのないお客さまはリストから削除するなどして、成果の出ないメールを極力送らないようにすることも大切です。
まとめ
問い合わせや資料請求などの履歴がある見込み客に対しアプローチする追客は、不動産取引において欠かせない営業手法です。適切なタイミングで追客することで、お客さまの購買意欲を高めて成約につなげやすくなります。
追客手法には、電話・メール・郵送DMやハガキ・SNSなど複数あります。お客さまのタイプに応じて適した手法を選べば、手間やコストを抑えて効果的なアプローチが可能です。